病院、警察署、公共施設などでデータ流用が発覚
続報です。ジャパンパイルの改ざんが18件の中で6件、33%についてデータ改ざんがあったとのこと。これが旭化成建材の前に発覚したならばもっと大きな問題となったかと思いますが、この機会に発覚してよかったと思うべきでしょうか。
しかし、気になる点があります。それは他の12件について。「誤って同じデータを使うなどのミス」ということですが、悪意は無かったのでしょうか?安全性に問題が無いとはいえ、悪質な場合が無かったのかが気になるところです。
杭データ、6件で流用確認 ジャパンパイルが報告
- 茨城県の病院、愛媛県今治市の警察署、福島県の病院と公共施設、東京都の擁壁、熊本県の事務所倉庫と、18件中6件でデータの流用
- 他の12件は誤って同じデータを使うなどのミスで、流用はなかった
- 2007年4月以降のデータ約1000件の半数程度しか調査が終わっておらず1万件の調査には半年かかる見通し
業界紙ではこのように報道されています。
ジャパンパイル、施工報告書の電流計データ流用が判明
- 施工報告書で電流計データを流用していたことが判明
- 5年間の既製コンクリート杭埋め込み工法現場の全件を再調査
- 今後の再発防止に向けて、既製コンクリート杭施工現場の杭毎に施工完了直後に電流計のデータを写真にとり記録と報告書の内容をチェック
- データの記録が正常に取れない状況となった場合は、施工を中止し、元請管理者に報告
ジャパンパイル、施工報告書の電流計データ流用が判明 | 住宅ニュース:企業・団体:新建ハウジングDIGITAL
好い加減から良い加減になってほしい
今後の再発防止へ向けた対策は歓迎ですが、逆に今まで「杭毎に施工完了直後に電流計のデータを写真にとり記録と報告書の内容をチェック」をしていなかったこと、そして「データの記録が正常に取れない状況となった場合は、施工を中止し、元請管理者に報告」していなかった事でしょうか?
いかにいままで「いい加減」であったかが浮き彫りになったようです。言い加減で好い加減にしてきた事をこれから良い加減として改善になれば良いと思いますが、日本を代表する杭打ち大手業者がこの段階であったことにショックを覚えずにはいられません。
ジャパンパイルとは?
杭基礎の構築を専業とする基礎建設会社として、業界大手。東京の日本橋に本社がありますが、北海道から九州まで全国に支店や工場を持ちます。
- 顧客の信頼確保
- 社会貢献
- 公正取引・反社会的勢力との関係
- 情報開示
- 企業発展・個性尊重
- 品質改善
- 遵守行動
という「ジャパンパイル企業行動基準」にあるようにこの件についてもこの機会に改善を率先していただきたい企業の一つです。
私たちの商品は、「建物を地中から支える力」。
マンション・ビル・テーマパーク・橋・道路・学校など、多様な建物を支えています。地震国日本において、毎年数千件の実績と、確かな品質・信頼を元に、これからもゆたかな社会の実現に貢献していきます。
実は旭化成建材って杭打ち業界では大手じゃないってホント?
- 三谷セキサン 7年連続1位の業界トップシェア
- ジャパンパイル 阪神大震災で倒壊しない杭打ち工事の実績
- 日本コンクリート工業 元業界No.1の杭打ち
- 旭化成建材の売上全体の数%だけが杭打ち
とのこと。これだとホント、他の会社の方が多くの杭工事を手がけているわけで、下請けや孫請けで現場で動く人間が仮に同じだとしたら・・・(゚A゚;)
兎にも角にも、いち早い真相を明らかにして、前向きに改善へと歩んでいただければ幸いに思います。
完璧はありません。100%は無理です。ミスもあります。
私もリフォームしていてお客様に工事完了後に細かな指摘を頂くことがありますが、新築でもリフォームでも100%はありえない、ということが一つあります。ですので、この問題も100%を求めていたらゴールは無い、どこかで良い意味で妥協点を見出す必要があるように思います。
安全、安心、安価の3つ「安」のバランスが必要だと思います
- 安全のためのチェック体制の確立や技術力向上
- 安心のための透明化・公開する仕組みや法律
- 安価のためのシステムや技術、多重下請け構造の改革
この問題を契機に業界全体をリフォームではなく、建て直しすべき大きなターニングポイントを迎えたのだと思います。東京オリンピックの問題もしかり、悪しき習慣を引きずるのはこれで最後。新たな一歩を踏み出すときなのかもしれません。
解決方法はあるのか?
少なくとも今の制度や法律、仕組み・ルールの中で再発防止は無理だと思います。現場の裁量で適当にごまかせてしまう状態、そしてそう現場がせざるを得ない状況がある以上、今現時点で発表されている会社や情報以外にも「ある」方が自然です。
この問題を契機に改善・強化されることで明るい未来が開けると思います。その時、トカゲの尻尾きりや臭いものにはフタをしろで対処したら暗い影を抱き込むことになりそうです。
コストと工期、上からの圧力を解決したらデータ偽装がゼロになるわけではないでしょうが、大きな進展は期待できるのではないでしょうか。
透明化、青田売り、適正な利益と工期、現場再優先、偽装への処罰の厳格化(偽装するより、正しく行った方がメリットが出る方向)など出来るだろうと思われる改善案は多数あるかと思います。
あとはやるだけ、最後は現場の人がそうしたい時、そうできる環境と心にかかってくるかと思います。
そのためには消費者、エンドユーザー、客も賢くならなくてはなりません。客だから偉い、金を払ったから工期も守れという客の圧力も要因としてあるのかもしれません。
被害者だと騒いだり、誰が悪いとアラを探すのではなく「どうあればよいか」にみんながフォーカスし、相互にメリットあるお互いが幸せになるための具体的手法について、引き続きより良い方法やアイデアを発信して少しでも貢献できればと考えています。私も勉強中の身ですので間違った情報があったら申し訳ありません。教えてください。
住まい百貨店という多数の施主と業者が集まるプラットフォームの場も有効に活用し、より良い業界のありかたついてご意見を伺いながら一緒に考えていきたいと思います。どうか皆様のご意見もお寄せください。
ありがとうございましたm(_ _)m
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