その八丁味噌は本物?偽物?
八丁味噌。歴史ある八丁味噌屋がGIに登録されていないことで揉めてます。なぜか?
- 利益重視の短期熟成した味噌がGI登録されてる?
- 長期熟成の美味しい味噌がGI登録されず保護されない?
何せ2年の長期熟成の八丁味噌が八丁味噌と名乗れなくなり、10カ月の短期熟成でOKの方が八丁味噌として登録され保護されるんですから問題です。でも、なんで登録されていないのか?そもそも登録申請してるのか?具体的に何がどう違うのか?我々消費者としてできる行動は何かを考えてみました。
まぁ、パッと思いつくのは美味しんぼ16巻にあった新潟の味噌屋さんのエピソードです。
八丁味噌のGI登録ってなんだ?
まずはGIって何かを簡単に解説。
地理的表示保護制度(GI)とは?
- 伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」
- 生産業者の利益の保護を図ると同時に、農林水産業や関連産業の発展、需要者の利益を図るよう取組を進める
ということで、欧州でワインに始まり、チーズなど様々な伝統食材や製法、産地や生産者を守るための制度のようです。松阪牛が中国で登録されてしまい、日本の松阪牛が中国では偽物扱いになってしまったように、提携するEU・EPA関係で国際約束を締結した国際的に有効な制度です。
八丁味噌のGI保護制度とは?
農林水産省が平成29年12月15日に公示した内容確認すると定義はこうなっています。
- 愛知県は、高温多湿な気候で、安定した味噌造りが難しかったが、高温多湿でも安全に麹造りができるように大豆だけで味噌玉を作って大豆に直接麹菌を付ける「味噌玉造り製法」で作る八丁味噌が定着。
- 大豆及び塩が原材料となり、味噌玉を作り豆麹を作り熟成させて作る。
うんうん、特に問題は無いように思えます。が。。。
GI登録の八丁味噌と未登録の八丁味噌の違いとは?
そもそも登録には生産地や品質の基準が定められています。その基準を満たさないと登録されず、登録が認定された場合のみ「GIマーク」が付けられます。不正な利用には行政が取り締まり、地域共有の財産として保護される良い仕組み。これによりキチンとした製法で作られた本物の食品などが見分けられやすくなる(*´▽`*)はずなのです。が。。。
未登録の八丁味噌は長期熟成にこだわる
株式会社 まるや八丁味噌と、合資会社 八丁味噌|株式会社 カクキュー八丁味噌の2社が今回GI登録されませんでした。どちらも長期熟成にこだわった昔ながらの伝統的な製法の八丁味噌です。
カクキュー八丁味噌の製法
大豆と塩のみを原料に、大きな杉桶に仕込み、天然の川石を山のように積み上げて重石とし、天然醸造で二夏二冬(ふたなつふたふゆ)以上の間熟成 引用:八丁味噌とは|合資会社 八丁味噌
まるや八丁味噌の製法
江戸時代から続く、昔ながらの伝統製法を守り抜き、大豆と塩と水のみを使う。そして二夏二冬じっくり寝かせることにより、大豆の旨みを逃がさない、硬い味噌、昔と変わらぬ伝統の味の『八丁味噌』ができる。その間に人の手は一切入らない。自然の摂理に従う。これも伝統。引用:http://www.8miso.co.jp/kodawari.html
どちらも2年以上の熟成が伝統の製法で、おいしさの秘訣だとうたっています。
八丁味噌協同組合の比較表がわかりやすい
http://www.8miso.co.jp/pdf/hogoseidonikansuruhodo.pdf
をダウンロードしてご覧ください。一部キャプチャを引用します。
ということで、熟成期間だけじゃなく、仕込み桶に重しというかなり味を左右する要素まで違うではないですか。そりゃ同じ味噌でも味が違うに決まってるwあとは、八丁味噌の元祖とも言える、岡崎市に触れない農水省も神戸牛とかに比べると雑な印象。八帖町じゃなきゃダメとまでは言わないけど説明で触れる方が親切だと思う。
GI登録の生産者団体の組合員の八丁味噌メーカーも調べてみた
登録生産者団体である愛知県味噌溜醤油 工業協同組合に掲載の組合員のWEBから熟成期間についてどのように掲載しているか調べてみました。こだわりある会社は目立つように熟成期間が書いてあるのですが、もろ工場で作ってそうなメーカーさんは表記が目立たないのか掲載がなかったり見つからなかったので発見できた一部のみピックアップします。
- キッコーナ株式会社 | 愛知県 | 名古屋市 | 味噌、醤油、各種調味料関連製造・販売・・・木桶の中で1年以上じっくり発酵熟成させます。
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工場見学 | 中利株式会社・・・約1年で熟成した「みそ」となり、タンクの下部から取り出されます。
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http://www.kuramoto-denemon.com/・・・杉桶でじっくり3年
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商品紹介 | 中定商店 豆味噌・たまり醤油の蔵元 宝山(ほうざん)・・・創業以来の昔ながらの製法で3年間じっくり熟成
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南蔵商店 青木弥右衛門・・・3年の歳月を経て
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加藤醸造トップページ・・・熟成期間が長く 約1年6カ月
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参年仕込 無添加 500g みそぱーく・はと屋・・・少ない水分で仕込み、三年以上熟成させた長期熟成の豆みそ。
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蔵元 桝塚味噌・・・18ヶ月以上の木桶仕込み
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日乃出みその小田商店・・・1.2〜1.6年の天然醸造
と、登録生産者団体の中でも1年だったり3年だったりバラバラ。そもそも表記が見つからないメーカーもあるので、基準は曖昧なのかも。いずれにしても10ヶ月以上という基準はクリアしてるからOKなのかな。組合員のリスト=登録メーカーかどうかは分からないけど。
メーカーと農水省の視点で考える
メーカー目線でみると基準は甘い方がやりやすいでしょうね。生産量も増やせやすいので輸出を視野に入れた時にも有利。味は置いといてビジネスの視点と農林水産省の思惑が合致してこの条件になったのでは?と思ってしまいます。それはそれで良いのですが、食文化を守るという観点ではこの2社の意見も大切にして欲しいという思いもあります。
今回の問題点は短期熟成でも良いとしたGI登録の基準から?
農林水産省のWEBでは生産方法にこのような指定があります。
豆麹、塩、水を混ぜてタンク(醸造桶)に仕込み、重しをのせて一夏以上(温度調整を行う場合は25℃以上で最低10か月間)熟成させる。引用:登録の公示(登録番号第49号):農林水産省
つまり、今回外れている2社と違い「最低10か月間熟成でOK」という製法に対するこだわりや伝統製法を守るか否かに大きな違いがあります。味噌は発酵食品ですから、熟成期間で味は全く異なるものと思われます。
GI保護制度はなぜ長期熟成にしないのか?メリット・デメリットとは?
長期熟成にしないメリット
- 短期間で大量に製造が可能で安く販売できる
長期熟成にしないデメリット
- 味や風味が落ちる(変わる)
つまり、伝統製法や味よりも商売として儲かる方を優先したという体が強い気がします。事実、組合の担当者からのコメントで、
農水省は八丁味噌のオリジナルを岡崎の2社とする一方、「県内全域で長く生産されてきた」として、両者の歩み寄りを求めていた。2社の代表者らは「伝統の危機」と農水省の対応を批判。一方、組合の担当者は「消費者のため、できるだけ低コストで味わいを出している」と説明している。引用:八丁味噌2社、保護登録漏れ「本物締め出すとは」 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
とありました。美味しんぼ16巻にあった新潟の味噌屋さんのエピソードと予想通り一致しているw
GI登録されないことによるデメリット
- EU加盟国で八丁味噌を名乗れない(本物の長期熟成の伝統製法なのにw)
- 保護されない(本物の長期熟成の伝統製法なのにw)
- GIマークを付けられない(ついてない方が本物w)
という恐ろしい状態に。本物を守り、保護し、伝統を継承するべき八丁味噌のGI保護制度ではないのか?本質が間違っている気がします。もちろんバランスは大切なので、長期熟成じゃなくても美味しい味噌が作れて、海外にも出荷できれば良いのですが、決定的に味が違うのですから問題だと思います。
2社はなぜGI登録しないのか?
先にGI登録をしたのは2社だそうです。2015年に申請。そのあとに申請した別の会社の製品が登録をされ、先に登録した伝統製法の長期熟成の元祖とも本家ともいえる八丁味噌の2社が登録されなかったようなのです。
時系列で整理
ゴゴスマでやってたのを見ながらメモしたのですが、2015年6月にGIに今回登録した方と申請されなかった2社の両社が申請。厳密に言えば申請されなかった方が先。
- 八丁味噌共同組合(今回漏れた2社)が申請(6月1日)→八丁味噌の範囲を広げてほしいと農水省から要望
- 愛知県味噌溜醤油 工業協同組合(今回登録されたところ)が申請(6月24日)→2社と一緒にやれないかと農水省から要望
- 折り合いつかず八丁味噌共同組合が申請を取り下げ→愛知県味噌溜醤油 工業協同組合の申請をお断りするよう農水省にお願い
- 愛知県味噌溜醤油 工業協同組合だけ登録。
愛知県味噌溜醤油工業協同組合は争いは誰も得をしないので話し合いを。八丁味噌共同組合は歴史・製造方法・品質において大きな違いあるから折り合えない。とのこと。農水省は今の登録内容で八丁味噌共同組合が再度申請したら入れても良い的なインタビュー。
今後はどうなる?
八丁味噌共同組合が折れて再度申請をするのが一つ。または、別ブランド枠でGI登録を作り、八丁味噌と元祖八丁味噌の2つの枠を作る。愛知県味噌溜醤油 工業協同組合が折れて一旦白紙。どちらにしても世界とつながる今、守るべき日本の大切な食文化。ビジネスと食文化、どちらもバランスよく賢い方法は無いのでしょうか。
美味しんぼ式の解決策
すでに遅いですが、完全に美味しんぼ16巻の新潟の味噌と同じ展開。短期熟成の味噌と昔ながらの長期熟成の味噌。工業化して短期で味噌製造できることをほめる役人。長期熟成の味噌屋は時代遅れで努力不足と判断。山岡さんが登場し味噌を食べ比べさせる。すると・・・
やっぱ、こうなったら山岡さんが八丁味噌を役人に食わせて解決するしかないw
これから八丁味噌を買う時はどうしたらよいか?
今回のニュース。調べるほどに本物の八丁味噌こそ買い支えたくなる、そんなお話でした。八丁味噌しかり、美味しい日本の調味料をキチンと選んで買おうと思いなおす良いきっかけになりました。お米、塩、醤油、味噌など基本の食材だけでも美味しい本物を選ぶと食生活はガラリと変わるからです。
オリーブオイルもそうでした。
トマト缶も愛用していますがほんとにイタリア育ちのトマトかかなり怪しいです。
買い物≒投資
すべてのお金を投じる行為はその相手に対する投資だと考えて、消費者は今後も食べ続けたい支持したい商品を購入したら良いのだと考えます。八丁味噌は安物と本物では味の違いがありすぎて驚いたので、私は実際に食べて美味しく伝統的な製法を支持したいので、GI登録があろうと無かろうと次の2社の味噌を購入します。
味噌に限らず、本物を自分の明確な基準と判断で選べるようになりたいです。いつもの癖で業務用で安いものばかり買ってましたが、1つ1つ大切に選んで行きます。あなたのおすすめのこだわり調味料あったらぜひ教えてください<(_ _)>
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